【社労士が解説】どうなる?パワハラ対策の義務化で企業に求められることとは

2020年施行 職場でのいじめ、パワハラ防止対応を義務化 

事業主に対して、パワハラ防止のための措置義務を課す法案が、いよいよ提出される予定です。順調にいけば、2020年度には法律が施行されます(中小企業は2年間の猶予)。

法制化の背景には、行政機関へ寄せられる労務相談の中で、「いじめ、嫌がらせ」の件数が圧倒的に多く、さらに、これが氷山の一角であることが挙げられます。

厚労省が発表している「個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、行政機関へ寄せられる「いじめ、嫌がらせ」に関する相談件数は、1日で約200件もあります。

さらに、パワハラ被害者のうち行政機関へ相談した人の割合は、たったの2%という調査結果もありますので、それ以外を相談予備軍と考えますと、50倍の約10,000件のパワハラ案件が毎日発生していると試算できます。

法律施行でどうなる?企業に求められることを解説!

法律施行後、企業として必要なことは、基本的にセクハラ対策と同様で、次のことが求められます。

パワハラ防止への措置
1 パワハラに対する会社の方針を明確にする

2 就業規則に対処方法を規定し周知する

3 相談体制の整備をする

4 発生後、迅速・適切に対応する

5 相談者、行為者のプライバシーを保護する

ただ、法令に沿って対応したとしても、実務上は十分とは言えません。セクハラを例にとっても、該当するのかしないのか、判断の難しいグレーゾーンが残ります。

パワハラは、業務指導の範疇なのか、逸脱しているのか、さらに難しいでしょう。大括りの部分は法令で判断できますが、個別具体的なケースへの答えを法令に求めても、明確なものが出てこないことが多いと思われます。

望まれる対策とは?しっかりした予防を講じて良い職場環境に!

そこでハラスメント予防で重要なことは、企業ごとにオリジナルの基準を設け、自社でNGな行動を明確にすることです。職場で発生しやすく、かつ、ハラスメントに該当しそうな言動をピックアップし、「べからず集」などを作成して可視化し、共通認識を深める対策が望まれます。

上司の中には、自分の言動がパワハラに該当しているのではないかと不安に思っている方が、3割程度いるというデータもあります。 被害者や加害者が発生する前に、しっかりとした予防を講じ、気持ちの良い職場環境を整える良い機会と考えましょう!



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