【社労士が解説】企業が「副業・兼業」を認めるときの留意点


【企業はどうすべき?】政府の副業促進計画を受けて

厚生労働省の「モデル就業規則」に「副業・兼業」の条項が盛り込まれたことで、「副業・兼業」を認めるか否かの検討を進める企業が増えています。政府からは、働き方改革の一環として、多様で柔軟な働き方の一つである「副業・兼業」を促進すべく、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」も発表されました。

ガイドラインでは、「副業・兼業」を希望する労働者が年々増加傾向にある一方、まだまだ課題・懸念点が残るとして「副業・兼業」を認めていない企業が多い現状を示し、労働者と企業それぞれのメリットと留意点をあげています。

「副業・兼業」を認める企業が少ない理由は、ガイドラインの留意点で示されている通り、法的な整備が進んでいないところにあります。

副業・兼業を容認する際の懸念点・デメリットを解説!

今回ガイドラインで示されている懸念点を3つご紹介いたします。

ガイドラインの留意点
1 就業時間の把握について

2 健康管理について

3 安全配慮義務について

1.就業時間の把握について

現行法では、異なる企業で就業する場合でも就業時間は通算されることになり、後で労働契約を締結した企業には、法定の労働時間を超える時間に対して割増賃金を支払う義務が生じます

1.は、「副業・兼業」先の就業時間を労働者に自己申告させることになりますが、自己申告を信用してもいいのか?自己申告が間違っていた場合の企業の責任についても明確にする必要があります。

2.健康管理について

企業には、健康診断やストレスチェックの実施、残業が長時間に及ぶ者に対して産業医の面接指導を行う等、労働者の健康管理上の様々な義務が課せられており、必要に応じて就業上の措置を講じなければなりません

3.安全配慮義務について

企業には、健康管理だけでなく就業環境の安全性や衛生管理についても配慮する義務が課せられています

2.と3.については、自社で就業する労働者を管理することはできたとしても、「副業・兼業」先の就業状況までを把握することはできず、万一の労災発生時には責任の所在を明確にすることができない点が心配です。

これらの課題・懸念点が残る一方、「副業・兼業」に関する裁判例はすでに多く出ていて、労働者が就業時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することは許されないとの姿勢が示されています。

リスク回避はどのように行うべき?副業を禁止・制限できる条件とは?

裁判例で例示された「労働者の自由を企業が制限することが許される場合」が、そのまま厚生労働省のモデル就業規則の記載となっています。

「副業・兼業」を禁止又は制限できる場合
1 労務提供上の支障がある場合

2 企業秘密が漏洩する場合

3 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

4 競業により、企業の利益を害する場合

そのため、「副業・兼業」を認める場合でも、許可制や届出制としたり、正社員を除く一部の雇用区分にのみ認める等の対応でリスク回避を図っている企業が多いようです。全面的な「副業・兼業」解禁へ踏み出すためには、今後の法整備の行方を見守ることになります。


社会保険労務士法人トップアンドコア
社会保険労務士・行政書士   小 西 道 代
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